迎賓館、見ちゃったら元には戻れない – ロマンティック休暇 in 東京

たしか、初見はテレビだったはず。迎賓館赤坂離宮の外観が映った瞬間、「ヤベえぞ、これは」って思いました。

迎賓館という建物があることは知っていました。各国首脳を迎えるニュースで、内部も一部見たことがあります。

でもね。外観があんなだとは知らなかったんですよ。まさに宮殿。ど真ん中ストレート。

東京の人にとっては当たり前のことなのかもしれません。ただ、北海道で生まれ育った私は、その情報に触れることもなく50代を迎えていました。怖すぎません? 情報格差。

ちなみに東京国立博物館の存在を知ったのも数年前です。「国立」なんだから、日本国民として一生に一度くらいは行かなきゃ!と思って行ったのが数年前。遅い。遅すぎる。

でも、地方在住民ってこういうのあるんですよね、結構。

なぜ旅の行き先が東京なのか

私と妻は近年、おもに秋に旅行に行くことにしています。行き先は圧倒的に東京。

申し遅れましたが、私、佐々木はワールドエッグス函館オフィス勤務の函館市民です。そして、日本ロマンチスト協会の研究員です。

で、なぜ旅の行き先が東京なのか。

日本史。城郭。時代劇。あと「なんかいい感じの建造物」。このへんが好きな私と妻にとって、東京ってあらゆるものの聖地なんですよ。

上野公園に行けば「ここがすべて寛永寺境内だったんかー。昔の寺すげーな」と思いながら彰義隊のお墓に手を合わせ、皇居の石垣を眺めては「家康やっぱすげー」と感動し、神田明神にお参りしては、「銭形平次もVIVANTの堺雅人もこの辺に住んでる設定なんだなあ」ってなって、別班饅頭を探します。

▲神田明神に別班饅頭はなかった

そもそも、テレビドラマも映画も文学作品も東京が舞台のものが多くて、情報番組で紹介されるのも都内や近郊が圧倒的。

地方在住民にとって、最も身近な都会は東京。そういう現実もあります。

なぜあなたは今こんなものを読まされているのか

先に謝っておきます。この記事は、私と妻の東京散歩の話です。誰得。

▲CGやAI感のある東京駅丸の内駅舎。良い写真が撮れた

でも、それには理由があります。

我が社には、「ロマンティック休暇」という制度があります。年に1日、好きな日に「自分にとってロマンティックだと感じること」に費やすための休暇です。

これを使った人は、その後に「どんなロマンティックな過ごし方をしたか」を、この欄で共有する決まりになっています。

つまり今あなたが読んでいるのは、ロマンティック休暇の報告書です。既にだいぶ長いですが、ここからどんなロマンにたどり着くのか。長いけど、まあ読んでください。お願いします。

ロマンは迎賓館にあり

で、迎賓館の話です。

夫婦で東京を旅する時、必ずひとつは「いい感じの建物」を訪ねようと決めています。そんな我々にとって、迎賓館赤坂離宮以上に「いい感じの建物」なんて、あろうはずがありません。何と言っても全館国宝。強すぎ。

その後、東京に行くタイミングと非公開日が重なってしまうことが続いていましたが、今回、ついにタイミングが合いました。

こんなロマンティックなことはないぜ。と、勇んでロマンティック休暇を取得しました。11月20日。いい二重丸の日。かどうかは分かりませんが、気分は確実に二重丸。

ここからは、その前日から書いていきます。

11月19日

この日は有給休暇を取りました。翌日のロマンティック休暇と合わせて、1泊2日にするためです。

東京に着いてまずは御徒町のホテルに荷物を預け、最初の目的地「上野公園」へ。

神社とお寺は素通りできない

アメ横を通り抜けて上野公園へ向かう途中、今まで気付いていなかったお寺を発見。摩利支天(まりしてん) 徳大寺。

旅行中は特に、通りがかりに神社やお寺があると、ほぼ参拝しています。建物としておもしろいし、どんな神様・仏様が祀られているのかも気になるんですよね。

お願いするのはだいたい二つ。ここまで無事に来られたことへの感謝と、旅行中の安全祈願。

摩利支天といえば、あの有名な武将が信仰していましたよね。誰だったっけな。こういうの、すぐ出てこないのが50代。

本堂には、たわしで洗う観音様。境内には、力を授かりたい部分を撫でるイノシシ。楽しい。こういうの好き。

▲猫を飼っているので、とりあえず動物はノド辺りを撫でておけば喜ぶだろと思っている筆者

寄席で急に夫婦の相性を考える

その後、上野公園でのクリスマスマーケット見物やいろいろ散策を経て、浅草演芸ホールへ。

落語や漫才が好きな私たち夫婦にとって、年中いつでも思い立ったら見られる「寄席」は、憧れ中の憧れです。と言いつつ人生2回目。1回目は昨年3月。

生の笑いはおもしろい。落語はいいよね、としみじみ。

で、あらためて思ったのが、夫婦2人とも落語を笑える人でよかった、ということです。

客席で、彼氏がめちゃくちゃウケてるのに彼女がつまんなさそうなカップルを見ました。逆に、旦那さんがつまんなさそうな熟年夫婦も見ました。

連れてくるほうも無理させちゃってるのかもしれない。分かる。分かるんですが。

神社やお寺に寄ってお参りするのが共通の楽しみだったり。上野公園で戊辰戦争に思いをはせたり。「迎賓館すげーから見に行こうぜ」で意見が一致したり。落語を聞いて大笑いできたり。

……自分たち夫婦、実はすげえんじゃない? と思ったんですよね。

うわ、なんか恥ずいぞ自分。

多様性の時代ですし、夫婦それぞれ好きなことを追求するのも全然いいんでしょう。でも、同じものを見て楽しいなと思える相手って、やっぱいいよね。まあ、それが配偶者である必要もないんでしょうけどね。

11月20日 迎賓館、脳が処理落ちする

ロマンティック休暇当日。ついに迎賓館赤坂離宮へ。

迎賓館、すごかったです。順を追って書くと終わらないので、箇条書きにします。ちなみに館内は撮影禁止なので、YouTubeで公式動画をご覧ください。

○ 本物の豪華を見た
小さな装飾や金具、ドアノブみたいな細部に至るまで、すべて最高級の素材で手作り。こだわりが芸術品レベル。現代では金額的にも二度と作れなさそう。たぶん無理。

○全館映えスポット
ちょっとした一角、扉の前、部屋の隅っこ。どこを切り取っても素晴らしく写るように作られている。すごい。

○ 見なくていい空白がない
圧倒的情報量。脳の処理が追いつかない。ヤバすぎ。

○あの場所に立ってる感
安倍さんとトランプさんが鯉に餌をやってたあの場所。ついこないだ高市さんとトランプさんが座ってた場所。同じ場所に立ってると思うだけで、なんか不思議な感覚になります。

○ 見た後、妙な心の余裕が出る
迎賓館を見ちゃうと心に余裕が出ます。今後の人生でどんな豪華な建物や内装を見ても、
「こっちは迎賓館見たことあんだぜ。そんじょそこらのゴージャスじゃ驚かないぜ」
みたいになる。何目線か知らないけど。

とにかく興味深かったし、行ってよかったです。一般人に見せてくれて、日本国ありがとうって思いました。

東京最後の食事は立ち食いそば

さて、東京最後の食事どうする?となったとき。妻が言いました。「もう一軒、立ち食いそばに寄りたい」

前日昼は、御徒町「よもだそば」でした。つまりこの旅、2回目の立ち食いそば。

でも分かるんですよ。妻、BS日テレの『ドランク塚地のふらっと立ち食いそば』が好きで、よく見ています。塚地さんが都内の立ち食いそば店を訪ねて、食べるだけの番組。私も一緒に見てます。

函館では立ち食いそば、消えちゃいましたからね。地方在住民にとっては、立ち食いそばって結構憧れです。私も東京出張のときは、1人でほぼ必ず寄ります。

というわけで、東京最後の食事は御徒町「小諸そば」。おいしかったです。次は、本当に1軒しかない個人経営の立ち食いそば店にも行ってみたい。

最後に

迎賓館赤坂離宮を見る前は、「これを見に行くこと自体がロマンティックなんだろうな」と思っていました。国宝だし。豪華だし。分かりやすく非日常だし。

でも、実際にロマンティック休暇を過ごしてみて印象に残ったのは、迎賓館で「すげえな」と同時に思って、寄席で同時に笑って、最後はそばをすすりながら「来れてよかった」と思った時間。同じものを見て、同じタイミングで楽しいと思えたこと。

ロマンティック休暇、良かったです。2026年も取ります(宣言)。

再会を願って、御徒町駅前のパンダとハイタッチ。