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【追悼】大林監督へ

2020.06.16

【追悼】大林監督へ

大林監督との出会いは私がまだ学生の頃でした。
恩師の勧めで受けた新人映画監督オーディションで、大林監督は審査員をされていました。
身振り手振りを交えて演出プランをプレゼンする私を、にこにこ見ていらっしゃったのを覚えています。

運良く合格して初監督の切符を手にした私は、こともあろうか大林監督に作品のプロデューサーになってください!と
空気の読めないお願いをしたのですが、快く引き受けてくださいます。

結果、初の監督作品「セイキロスさんとわたし」には大林組のスタッフさん達に参加していただくという
夢のような体験をしながら映画作りを学びました。

それから何年か経ち、大林監督の事務所で「この空の花」の仮編集映像を観る機会をいただきます。

本当に不思議な作品でフィルムから伝わるパワーに圧倒されました。
作品内のアニメパート担当を探していると伺い、手を挙げるか迷っていたところ、
同席されていた犬童一心監督が「糸曽くんはどうですか」と推薦してくださいました。

大林監督からは「絵画が動いているようなアニメに」とご指示をいただき、技法も研究しつつ制作したのを覚えています。
大林さんの背中に少しでも近づきたい、恩返しをしたいという想いで映像を作り続けていたので、作品に少しでも貢献できていれば嬉しいです。

今も印象に残っているのが
「映画を最後に守るのは監督。スタッフ全員で作り上げた想いを望む形で届けられないなら、上映を止める勇気も持つべきだよ。」
とおっしゃったことです。

映画を様々な場所で上映すると、音が出ない、映像の再生スピードがずれるなど、予想外なことが起こることがあります。
大林監督は、そういった状況で上映が進むことに耐え切れず、スクリーンの前に走り、手を広げながら上映を止めるよう叫んだことがあるそうです。
誰よりも純粋に映画を愛していて素敵だなと思いました。

ご自身の映画の演出手法をはじめ、故郷が同じ広島であったため尾道ラーメンの話題で盛り上がったり、
手塚治虫先生や黒澤明監督との逸話を教えてくださったり。

私からのどんな質問にもいつも真剣に、誠実に答えてくださいました。

常に果敢な挑戦を続けていらっしゃった大林監督、作品もお人柄も本当に素晴らしく、
直接お話しできる機会、学ぶ機会をいただけたことに本当に感謝しています。
御恩は一生忘れません。本当に、ありがとうございました。

糸曽賢志

 
【広報からのお知らせ】
糸曽賢志がMCをつとめます「糸曽賢志のファンタジーユニバ! 第31回」にて、故 大林宣彦監督との思い出や
監督にまつわるエピソードなどもお聴きいただけます。

 

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